北原 照久さん 横浜ブリキのおもちゃ博物館 館長

このエントリーをはてなブックマークに追加
2003年10月-月刊:介護ジャーナル掲載より(当時55歳)

歳を重ねるのが楽しくてしょうがない

ティントイ—明治時代から作られ1960年代後半に姿を消していった、ブリキのおもちゃ。
この懐かしく味わいあふれるおもちゃの世界的なコレクターである北原さんは、横浜をはじめ、全国に6つもおもちゃ博物館を開いている。
また、人気テレビ番組『開運!なんでも鑑定団』のレギュラー鑑定士としてもおなじみの顔だ。
そして何より北原さんの歩んできた道のりそのものが、夢を追い続ける男の、熱いサクセス・ストーリーなのである。

◎人脈、ノウハウなしで博物館を開く

エキゾチックな港町横浜の、外国人墓地へと続く坂道の先に、白くかわいい洋館のブリキのおもちゃ博物館がある。館内には約3000点のおもちゃがところせましと展示され、見ているだけで子供のころの興奮を呼び覚まされる。
実家は、東京・京橋のスポーツ店。初めは時計などの生活骨董の魅力に惹かれ、やがてティントイ・コレクターへの道を突き進んだ。最初のブレイクは、雑誌『ポパイ』へのコレクション紹介だった。そして流行語になった名作CM『不思議、大好き』にも、北原さんのティントイが使われた。
「37歳のときに、自分の夢だったおもちゃの博物館を作りたいと、全然知らない横浜にやってきました。1500万円借金して、人脈なし、ノウハウなし。ここからスタートしたんですよ」
昔から車がほしいとか、あの家に住みたいとすぐ口に出したため、夢想家だの狼少年だのと言われたそうだ。
「でもぼくは、本当にほしいんです。気というか、求める気持ちが強い。有言実行なんですね」大事なのは、熱く楽しそうに、情熱的に、しかも常に言い続けること。
すると周囲の人々も自然に応援するようになり、その結果、夢が実現する。
また自分をほめてくれる人たちを集めると、励みになって頑張れる。
さらに自分を客観的に見られるようになると、困難も苦にならない。
「つまりプラス発想です。これは物事をプラスに考えながら、自分の目標や夢に向かって努力すること。
ぼくは、その究極である“万象肯定、万象感謝”に近づこうと努力しています」

◎たった1つの言葉が人生を変えた

自慢のコレクションに囲まれた北原さんは、嬉々として情熱的だ。思わず引き込まれてしまうほど、前向きで快活な魅力にあふれている。
しかし—、「4人兄弟の末っ子で、優秀な上の3人に比較されて育ったせいか反抗心が強く、中学3年までは世の中に対して愚痴ばかりのマイナス思考だったんですよ」。
試験の答案はいつも白紙で出すので成績も悪く、義務教育である中学を退学になるほどの問題児でもあった。
「ところが退学になった日に、母が、『だけどおまえはタバコを吸わないから、いいとこあるよ』って言ったんです。
また鳩を飼ったり花を大切にしていたので、『やさしい』と。最悪のときにほめてもらったんですね」。
進学した高校の担任もほめ上手で、「たまたま試験で60点を取ったら、『やればできるじゃないか』って。
その言葉に自信がつき、同時に“ツイてる”と思いました」
先生の暖かい言葉に一大奮起した北原さんは、勉強に没頭して、なんと卒業のときには総代になったのである。
「それ以後、ぼくは“ツイてる”という言葉を何十万回も口に出してます。
言葉には魂が宿りますからね。だからぼくは実際にツイているんですよ。
反対にいつも愚痴っている人は、その通りになる。今は日本中が不況不況と連呼しているから不況なんです。
そうではなくて、“ピンチはチャンス”と考えなくてはだめですね」

◎ツキの10箇条で夢を実現

「ぼくはいい車に乗っている。いい家に住んでいる。博物館をやっている。楽しそう。元気。55歳にしてはメチャメチャ若い」
このように面と向かって言われたら、普通は腹が立つが、北原さんの場合は素直に納得してしまう。
ことごとく夢を実現しているからだ。その秘訣が、以下の“ツキの10箇条”である。
①プラス発想をする ②勉強好きになる
③素直である    ④感動する
⑤感激する     ⑥感謝する
⑦ツイている人と付き合う
⑧親孝行をする   ⑨人はほめる
⑩ツイていると思い込む
このうち、勉強するのは自分にとって大切なことが見えてくるためで、感謝には“ありがとう”と口に出す。
親には品物を贈り、親のいない人は墓参りをする。また“鏡の法則”というものがあり、よい気を出せば、同じよい気が戻ってくるそうだ。
「目標を持って実現すれば達成感がある。
だからぼくは、歳を重ねることが楽しくてしょうがないんです。
とにかく一歩踏み出すこと。失敗したっていい。いや、それを失敗と思わなければいいんです」
そしてさらに力強く、北原さんはうなずく。
「過去と他人は変えられないけど、自分と未来は変えられます。そのためには、明るく元気で、クヨクヨせずに、そして愚痴を言わないことですよ」