カーリー西條さん 料理研究家

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1999年08月-月刊:介護ジャーナル掲載より(当時50歳)

「“もう、歳だから”は禁句、生涯現役心がけて」

陽気でバイタリティあふれる料理研究家のカーリー西條さん。
料理だけでなく、歯に衣着せぬおしゃべりでも注目を浴びた。
最初はアメリカの大学で医者を目指して勉強していたという。
それが大学生の時に来日して以来、すっかり日本の虜になった。
その後日本人と結婚、国籍も取り、今では一生を日本で過ごす覚悟とか。それだけに日本の文化、政治などに一過言が…。

◎パーティーの多い家庭で育ち料理の英才教育を受ける

「私の生まれ育った家が料理の世界を大切にする家だったのね。
パーティーとかお客様の多い家でしたから。
母の友だちがシェフで、8歳の時にフランス料理、10歳の時にイタリア料理とドイツ料理をマスターしました。
そして、日本に来てからは日本料理と中華料理を。だから日本料理も得意ですよ。
主人は会社勤めを辞め、牧師になったのですが、牧師には給料がありませんし、それで私が料理の仕事を始めたんです。
料理はそれまですごく勉強していたけれど趣味でしていました。
ところが辻学園から先生にならないかと誘われて。やがてテレビにも出るようになりました」。
テレビの料理番組にレギュラー出演していたカーリーさん。仕事柄どうしても肥ってしまうという。
肥満は健康の大敵だが、その健康法は?
「私は肥っているけれど脂肪が余りたまらないタイプなの。
私、お酢が大好きなんですよ。だから料理やサラダによく使います。
日本はドレッシングをつくるのにサラダオイルが3で酢が1とか教えるけれど、外国はオイルが1でお酢が2か3なの。
だから外国のサラダはさらっとしてるでしょ。
日本の場合は油が多すぎて野菜がまいっちゃうのよね。スパイスも効かないし。
私の家にはサラダオイルは置いてないし、オリーブオイルやゴマ油などドライな油を使ってるというのが健康にいいのかも。
できれば油は毎日種類が違うものを使ったほうがいいですね」。

◎老後を日本で過ごすには不安安い年金暮らしはかわいそう

大の日本ファンのカーリーさんだが、老後を日本で過ごすには環境問題や社会制度などに多くの不安があるという。
「最近やっと日本ではダイオキシンという言葉が出るようになったけれど、アメリカでは私が赤ちゃんの時からいってました。
食べ物だけじゃなくてゴミでも厳しいですよ。
ゴミ箱の大きさや形も決まっていて、ふたが締まらないだけでも回収してくれない。
持っていってくれないから、自分でトラックを借りてゴミ捨て場まで持っていかないといけないの。
しかもひとつ捨てるのに10ドル払ってね。
日本の環境問題はこれからですね。
日本人は役所にいいに行くということもないし、誰かがやってくれると思っている。
人生でも年を取ったら誰かが面倒を見てくれると思っている。
でも、今の時代にそんなことはないですよね。
ずっと働いて、税金納めて、最後になったら10万そこそこの年金暮らしはかわいそう。
アメリカは物価は安いし、老人ホームもそんなに高くない。
ほどほどの生活をしてきた人ならセキュリティーの充実した立派な施設に住めるんですよ」と、日本での老後を憂いながらも家族が日本で住んでいる以上、カーリーさんも老後は日本で暮らすことになるという。

◎年相応の仕事することが長生きの秘訣人間、いくつになっても楽はダメ

カーリーさんのおばあちゃんは105歳、おじいちゃんは106歳と長寿の家系のよう。
もちろんご両親も健在。でも長生きの秘訣は食べ物だけではないという。
「私、うるさいおばあちゃんになりそう。うちのおばあちゃんは教会でピアノを弾いていたの、最後まで。
でも80歳になった時、息子が“お母さん、朝起きて料理作らなくてもいいよ”といわれて家事をやめたの。
そしたら数カ月後に入院しました。
身体も硬くなってくるし。それで私は国際電話で“さっさと家に帰ってお料理始めないとおばあちゃん死ぬんだから”といいました。
だって全部仕事を取り上げたら生きている意味がないでしょう。
しばらくして退院して、また料理を始めたら105歳まで生きたんですから、人間、楽したらいけないのよ」と、人間いくつになっても年相応の役割があり、それが長生きの秘訣だと。
3年前にむち打ちになったカーリーさんは同じような体験をする。
「最初、お医者さんからは“カーリーさん、もしかしたら料理人は無理かも、悪くすると車いすの生活になる”といわれた時はショックでした。
でも、ちょっとの間絶望するのはわかるんですが、“かわいそう私”と思うと自分で自分をダメにする。
その時、お医者さんに“じっとしてなさい”といわれたけれど、身体を動かさないと腰痛が始まって足の指までしびれてきたので、このままだと将来どうなるんだろうと思って、我慢して少しずつ身体を動かしたんです。
痛かったですよ。リハビリという言葉が恐ろしくなるくらい」といいながらも再起する。
医者のいうことを聞かず、我慢して身体を動かすことで再起したカーリーさんは、「お年寄りも同じ。“もう、歳だから”ってすべてをすませる風潮があるし、また女性の場合、日本では30歳を過ぎたら価値がないのよね。国が価値をなくしている。
アメリカだと一般の会社で44%、女性がマネージャーになっています。日本は9%もいかない。
政治の世界でもアメリカでは、女性のキャリアが活かされているわ。
日本でも年を取っても優秀な人はいっぱいいるのに国が声をかけないのよ。
年を取ったんだから引っ込んでほしいと思わないでほしい。
日本も女性がもっと強くなって変わらなきゃね、少しずつ」。カーリーさんは日本の女性に比べてはっきり発言する。
お国柄もあるが、やはりそれだけ自己が確立しているということだろう。
私たち日本人も“控えめは美徳”を返上して、自らも社会も変革していかなければならない時代に来ている。